難しい作業でも地域の方が丁寧に教えてくださったおかげで楽しかった

ーーきむら果樹園ではどんなことをしましたか?
アキ:1ヶ月間くらい参加したので、時期によっていろいろな作業を体験しました。全日程でサクランボを収穫する予定でしたが、今年は春に霜が降りたため昨年に比べてサクランボが熟しておらず、6月末はぶどうの誘引(※1)と梨の間引き作業、手作りりんごジャムの作製を行いました。ジャムが白く、皮や種、ヘタが入ると異物のように見えてしまうため、丁寧な作業を心掛けました。
 後半はサクランボ以外にもハスカップ、ラズベリー、ブルーベリーの収穫を行いました。去年に比べて今年の活動は作業が少なく、午前だけで終わることが多かったことから、農業が天候に左右されやすいものだと実感しました。
※1誘引:つるや枝が太陽の光をそれぞれ同じように浴びて成長するように、支柱に結びつけて固定する作業

ーー私は果樹園での作業経験がないのですが、作業する上でのコツはありますか?
アキ:梨の摘果で切り落とすものを選ぶコツは3つくらいありました。①同じ枝から出ているものは小さい方、②太陽が当たらなさそうな方、③他の枝に当たったりして今後変形しそうな方を切り落とします。出面さん(日雇いの地域の方)が「この中ならどれ残す?」って聞いてくださり、「これですか?」と話すのが楽しかったです。
 サクランボの収穫では、全て収穫する木と収穫するものを選ぶ木がありました。赤いサクランボをいっぱい見ていると、「どこまで赤いものを取っていいのかな…?」って迷ってしまうので、難しかったです。ですが、出面さんが丁寧に教えてくださったので楽しく行えました。特に活動初期や新しい品種をもぐ時は収穫すべきものの選別方法を教えてもらいながら、ついでにいっぱい味見もしました。

ーー地域の方との印象的なエピソードはありますか?
アキ:私が脚立を上手く立てれずに苦戦していたら、出面さんはさっと脚立を立ててひょいひょい上って作業を進めていたのでペースが速くて驚きました。ezorockは人手不足によりこのプログラムに関わり始めましたが、お手伝いに行った私が元気をもらって帰るくらい出面さんがパワフルで、活気にあふれていました。他にも小休憩の時に、家庭菜園の話とか「土いじり」の楽しさで盛り上がりました。

果物がより美味しく感じるようになった

ーーなんでこのプログラムに参加しようと思ったんですか?
アキ:一次産業のお手伝いをしてみたいと思っていたからです。今畜産を学んでいることから特に「食べ物」に興味がありました。食べ物を作っている人がどんな気持ちで育てているのか知りたくて、昨年のリンゴ収穫に初めて参加しました。その後、浜益ベースのメンバーとして活動し始め、今年のサクランボの収穫には7回も参加しました。楽しくて毎週末行ってしまいます。

ーー活動に参加してみて率直な感想はどうでしたか?
アキ:心を込めてひとつひとつ作業されている過程を自分も体験してみることで、作業の難しさ、そして出面さんの凄さを実感しました。「リンゴの摘果が難しい!」と前年の担当者から聞いたので、今後体験したいという思いが大きくなりました。

ーー参加したことでアキさんの考え方は変わりましたか?
アキ:果物がより美味しく感じます。先週、きむら果樹園でぶどうを買ったんですけど、「お世話になってるところのぶどうか〜」とか、「この作業やったなぁ〜」って思い出すともっと美味しく感じます。スーパーで買うより、よく知った果樹園に行って買いたいと思うようになりました。話は変わりますが、少子高齢化と言われている地域でも、その地域に関わっている若い人は意外と多いです。そして若い人達の熱意や活気を受けて、若い人達がアクションを起こしやすいように上の世代の方が協力してくださっていることが地域にとって大きいのではと思っています。私自身こういう地域に関わるきっかけをくれたこのプログラムに感謝だし、このプログラムは大切だなって思いました。地域に対する思いを育てて、関係人口が増えていくといいなと思います。

こぼれ話

アキ:リンゴのジャムを作る過程で、煮詰めているジャムがとてもはねるので、みんなで「あつっ!」って言ってました。その時に前園主が冷蔵庫から「熊の油」を火傷に効くからと出してくださいました。受け取った時は驚きでいっぱいでしたが、前園主は狩りをするのでこんなものも持っているようで、これが生活の知恵なんだなと思いました。

インタビュアーの感想

記事編集を体験してみて、一言で言うならば、楽しかった!に尽きます。人とお話する事は好きだったので抵抗はあまりなかったのですが、インタビューする際に話が脱線してしまう事、文章を書く際に文章構成を考える事が難しかったです。話の内容を正確に記録して下さったり、質問を一緒に考えて下さったりと、サポートしてくださり、ありがとうございました。このような企画に参加でき、とても嬉しかったです。(じゅり)

 

※本記事は、休眠預金を活用した『北海道未来社会システム創造事業』を活用し作成しています。
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