最初「浜益」っていう認識はなかった


ezorockと浜益の最初の関わりは2009年。都市部の若者が農業のお手伝いをしながら、地域に関わるプログラム『田舎で働き隊!』が始まりでした。その時の受け入れ先のひとつがきむら果樹園さん※。木村さんや浜益とのつながりはそこから始まりました。
タ:『田舎で働き隊!』の時から素敵な場所だなぁって思ってたんだよね。そのあとしばらくは浜益との接点はなかったのだけど、てつが関わるようになってからまた繋がりが強くなっていった感じ。てつはいつ最初に浜益に行ったの?
て:最初はNINOMIYA※かな。2013か2014年くらいに学生ボランティアとして毘砂別※に材を取りに行ってた。
タ:その時、浜益って認識はあったの?
て:認識してない。なんとなく北の方にある毘砂別ってところに連れていかれてただけ。海と山がある印象で、千本ならを見に行ったり、どら焼きを食べに行ったりはしてた。そのあと、千本ならをメインに巨木ツアーを企画させてもらった。今のイチイツアー※とは全然違って、ezorock内のメンバー5,6人で森や木を見に行ってた感じ。
タ:そのあと、石狩をフィールドに子ども農山漁村体験プロジェクトに関わり始めたんだよね。
て:そうですね。若者や子どもの体験フィールドをもっと作れるんじゃないかと思って石狩市全体で資源調査してた。行ったことあるところだし、まぁいいかぐらいな感じ。
タ:確かに、その時は足は運んでたけど、地域のことや地域の人を認識してなかったし、繋がりを深めようとも思ってなかったよね。

その時初めて名前を呼んでもらえた気がした

タ:浜益っていう地域を認識したのはいつ?
て:うーん、イチイの巨木と出会ったときかな。石狩市全体で活動してたNINOMIYAの動きとか資源調査で通ってるうちに地域とか役場の人にウロチョロしてるやついるなって認識されてて、あいつ樹木医の資格取ったらしいって話になって、千本なら以外に巨木があるから見に来ないかって話をもらった。その時、浜益にそんなのあるんだって初めて浜益って地域を意識した。
タ:そこすごく大事だよね。よくわからないけど連れていかれてる場所っていっぱいあるけど、その地域のことを自覚したり、自分事になる瞬間ってあるよね。そのとき何が起こるんだろう。
て:それまでは、自分じゃなくてもいいって感じだったけど、地域に認識してもらえた感じがあって、その時初めて自分の名前を呼んでもらえた気がした。そこから地域のお祭りに呼んでもらえたり、コープふくしま※を浜益でやってみようみたいな動きが始まった。
タ:コープふくしまは、最初海での活動が中心だったよね。
て:そう、その時は地域づくりというよりは自然体験のフィールドとして浜益を見ていて、海とか畑で活動することが多かった。
タ:そういう意味では、地域の人に認知されていくまでの期間があって、ちょっとずつ関係が深くなって、地域から相談がくるようになってくる流れかな。
て:住んではいないから、認知されていくまでの期間は結構長かったのかも。子どもたちを連れていくというミッションのために色んなところに顔出しながら通って、お願いをして受け入れてもらってた感じだった。そのあと、大雨災害※があった。
タ:そうだね。それが国道が通行止めになるくらい結構大変な災害で。お世話になってるところだから恩返ししたいってボランティアから声が上がって、木村さんのところへ1週間お手伝いするために毎日通った。風で落ちてしまったリンゴを拾う作業とかしたよね。

集大成としてのウォークラリー

て:その災害後のお手伝いの後から、浜益に行ったら、何も用事なくてもまちの人のところに顔を出すようになった。それまでは自分たちが行きたいから行ってる感じだったけど、そのころから行ってもいい場所なんだって思えるようになっていった。お借りしてる、もてなされているっていう関係性から、何もなくても居心地がいい場所になって浜益に通いやすくなったのかな。
タ:そのあたりから、さらに多くの浜益の人たちにも認識してもらえるようになった感じかな。
て:それで、浜益で子どものウォークラリーを企画するときに、漁師さんから農家さんなどまちの色んな人に声かけてもいいかって提案できた。それぞれのところに認識されていたし、あいつらの言ってることだし聞いてやってもいいんじゃないっていう雰囲気があった。
タ:てつを中心に地域の人との関係の積み重ねがあって、色んな人と関わって認知されて、信頼を得ていった。そして集大成として地域の人を巻き込みながらウォークラリーができたんだね。最初からここまで8年くらいかかってる。何となく関わっていって、ある時ミッションをもって関わるようになって、地域との関係が深まると同時にイチイと出会ったんだね。

自分にとって浜益がどういう場所なのかはわからない

て:自分にとって浜益が何なのかはわからない。でも、ただ仕事で行く場所とは違うことはわかる。そういう地域は浜益だけ。それが何なのか考えてる途中。
タ:そういう場所が一か所でもあるのはいいよね。
て:だけど、フェーズは変わってる感じがする。今までは自分が行って認知されてって感じだったけど。だんだん自分を通じて違う人が通うようになってる。関係人口の細い糸が、人が増えて太くなっていく感じ。ひとりで行ってるだけでは太くはならないんですよね。この先どうなっていくかはわからないけど・・。
タ:太くなっていくこともあるけど、ひとりの人の線も濃くなるよね。てつのようにある程度濃くなったら、ひとつのミッションを通して関係性を継続していくのかもね。そこに他の人が関わって、糸増えるようになっていくことが大事だよね。
て:ミッションを持って地域に関わって、結果的に関係人口が増えていくっていうのが大切だと思う。ただ行くだけじゃなくて、行く人の成長と地域との関係性がセットな気がする。

浜益では、今後も活動を実施します。最新情報は、PROGRAMをご覧ください。
また、今後も浜益に関わる人へのインタビューも掲載します。お楽しみに!

おまけ~イチイと出会った衝撃

タ:イチイと出会った衝撃は今でも覚えてる。ここ5年くらいの中でもベスト5に入るくらいの衝撃だった。
て:巨木見れるってだけでわくわくしてたけど、その期待をいい意味であっさり裏切られた。こんなに神々しいのあるんだ!って感じ。
タ:地域の魅力的な資源とてつのやりたいことが重なった瞬間だよね。
て:当時、地域の人からはあんなもん見に行くのか、何がいいんだって言われてたけど笑

※きむら果樹園:石狩市浜益にある観光果樹園。さくらんぼ狩りや、夏から冬にかけて様々な果物を直売している。
※NINOMIYA:プロジェクト「NINOMIYA」。ezorockのプロジェクトのひとつで、薪割りを通じて森林体験活動などを展開している。
※毘砂別(びしゃべつ):石狩市浜益区毘砂別地区
※イチイツアー:2019年から毎年2月に実施されている『スノーシューで尋ねる黄金山イチイの木』
※コープふくしま:コープさっぽろ主催でふくしまの子どもたち対象の長期キャンプ(2016年~2018年)
※大雨災害:2017年9月に発生した浜益区を中心に発生した大雨災害