はじめに

ここに記すのは、2020年8月に初めて旭岳に滞在したモリアキからこれから滞在する方々に送るアドバイス集です。自分が行く前に知れたら役立つと思う事柄について体験を交えて装備の観点からまとめました。全て個人の独断と偏見によるものです。ここに書かれてあることと異なる感覚を現地で抱く人もいると思います。また、装備については登山慣れしていない人を対象に書いています。

活動場所とアドバイス

大雪山系の一部、標高1600mに位置する散策路です。この環境をロープウェイ駅のアナウンスによれば「本州の3000m級の山々より厳しい気候条件にあり、登山には十分な装備が必要」ということです。つまり、観光気分の軽装では長時間活動できない環境ということをふまえて下さい。

Mさんの体験談①
「ロープウェイから降りると霧に覆われて、暴風に襲われました。真夏なのに寒かったです。」
<服装のアドバイスその1>
真夏に行く場合でもフリースかダウンを忘れずに。真夏でも天気の悪い日は気温が10度台前半に冷え込みます。風が強いときはもう少し冷えます。迷ったら両方持っていきましょう。


写真:8月の霧のない旭岳


写真:8月の霧がある旭岳(これでも薄いほうです)

Mさんの体験談②
「日差しが強くて、外での活動中はすぐ汗をかきました。動かなくなると汗が冷えて寒かったです。」
<服装のアドバイスその2>
矛盾したことを言うように聞こえるかもしれませんが、半袖も用意しましょう。活動場所ではすぐに体が暖まり汗をかきます。材質は吸水性と速乾性の観点から、化学繊維の物をお勧めします。化学繊維が着られない肌の弱い人は、常に着替えを一枚リュックに備えておくと良いでしょう。


Mさんの体験談③

「汗をかいて水筒の容量が500mlでは足りず、結局ペットボトルを買い足すことになりました。」
<飲み物のアドバイス>
自分が普段飲む量より多めの容量の水筒を持ち込むようにしましょう。(参考:私は暑い日には1L消費しました。)荷物が重くなるなど大きな水筒を持ち歩くことに抵抗がある場合、水筒を二本持ち込み、活動時は一方を活動拠点のバックヤードに置いておくなど工夫しましょう。毎日十分な水分を確保して活動に臨んでください。
補足:活動拠点のロープウェイ姿見駅に水飲み場はありません。自販機はありますが、山価格です。


Mさんの体験談④

「登山慣れしていない足、運動靴で活動していました。長期滞在するうちに下山道で転んで尻を打ち付けたり、とがった石を踏んで足を痛めたりするとなかなか痛みが引きませんでした。」
<足元のアドバイス>
はきなれた登山靴があれば理想です。しかし登山しなければ普通持っていない上、急ごしらえでは足に合わないのがつらいところです。運動靴で行く場合、なるべく靴底が厚いものを使ったり、中敷きを敷いておいたりと工夫をしておきましょう。滑りやすさはどうにもならないので、散策路以外の本格的な登山道に入る際には鋼の意思を持ちましょう。日常的な活動で回る散策路では運動靴でも大きな支障はありません。もちろん、無理はせず、耐えられなくなったら監視員さんに相談をしましょう。

写真:登山道の例。8月の旭岳にて撮影。

Mさんの体験談⑤
「斜めがけバックを活動時に使用していました。」
<活動時のバックのアドバイス>
体に固定できないものは登山向きではないのでやめましょう。荷物が重くなれば重心が偏り、体のバランスを崩しやすくなります。多少容量が大きくてもリュックを用意した方が良いでしょう。

終わりに

モリアキさんの体験談
「活動前、活動が不安でした。」

大丈夫です。装備が多少及ばないことがあっても何とかなります。足が痛い上に滑って転げ落ちそうな時でも風景はきれいでした。水がない時に買って飲んだスポーツドリンクは本当においしかったです。気温の低い時には真夏にストーブの良さを思いだせました。私の活動には装備が整わず、不便な思いをすることもありましたが、その不便の中にも不便一言では表せない様々な体験をすることができました。とは言え、不便がなければ、さらに純粋に楽しむことができたように思います。このコラムを少しでも活動の役に立ててもらえたならば幸いです。

 

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大雪山国立公園旭岳自然保護プロジェクト『プログラムガイド』

 

※本記事は、休眠預金を活用した『北海道未来社会システム創造事業』を活用し作成しています。
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