実施内容
【1日目】
旭岳に昼頃到着し昼食後、保全員さんと合流してロープウェイで旭岳5合目付近へ向かいました。そして、保全員さんから旭岳の生態系や国立公園のルールについてレクチャーを受けてから、壊れた登山道の修復活動をしました。修理では、雨などで登山道から流された石や砂を、公園のルールに則って元の場所に詰め直す作業を行い、自然保護と登山客の安全の両方に配慮し活動を行うことができました。
夜はみんなでシェアハウスで楽しく過ごしました。今回は学生から社会人まで参加していたため、年齢の垣根を超えて様々な話で盛り上がったのはとても魅力的な体験でした。
【2日目】
午前中はキツネのエキノコックス対策の「ベイト」づくりをしました。2種類の油と魚粉、白い粉を混ぜてカレーのルーのような容器に入れる作業でした。匂いがきつかったり、油を運ぶために慎重な作業が求められたりと大変なこともありましたが、この餌をきっかけに少しでも生態系の保全に貢献できたら良いと思いました。午後は展望台周辺を散策し、セイヨウタンポポの防除やゴミ拾いを行いました。セイヨウタンポポがどのような経路で持ち込まれるかは不明ですが、外来の植物が増えるともともとの植生に影響を及ぼす危険があるため防除する必要があるそうです。生態系への影響は、山の石をわずかにずらすだけでも水の流れが変わって地形が変化するため、元の状態に戻す対策がとられていることを学びました。
(記事を書いた人 くにたん、なべちゃん)
※表紙写真:銘水として知られる「大雪旭岳源水」の取水場
※(エキノコックス駆虫薬入り)ベイト:キツネの媒介するエキノコックス症の対策として使用される薬入りの餌。定期的に散布しキツネに食べさせることでキツネの体内からエキノコックスを排出させる効果が期待できる。
参加者の声
自然保護プロジェクトに参加してみて、山というのはさまざまな目的の方が集って心地よい環境になっていると感じました。そんな心地の良い環境を維持してより良くしていきたいと思いました。巡回中や登山道の補修をしている時などに見かけた方々は、景色を楽しむ人、野鳥や高山植物の観察をする人、山頂を目指す登山者などさまざまな方が集っていて、旭岳は人を魅了する素晴らしい空間なのだと思いました。そんな素晴らしい空間を維持するためには、ごみ拾いや登山道の補修、登山者への登山前のレクチャーなど自然環境に関わることや命に関わることを徹底していくことが大切で、多くの人が安心安全で心地よく過ごすことができる環境づくりになると思いました。山に限らず、自然に関わる人はある程度の知識を身につけて、装備を揃えてから臨むことが人も自然も豊かになるのに大切なのではないかと思いました。(かんせい)
プロジェクトに参加してみて、ポイ捨てされたごみは本当に長い年月をかけなければ分解されない!ということを改めて認識させられました。散策路を歩いてる途中に、土の上から少しだけ見えている缶を発見しました。自然保全員さんが掘り出して、拾った缶を見せてくれました。その缶は、ジュースの缶で、昔のものだとわかるくらい絵柄がはっきりとしていて、ほぼ分解されていなかったです。その缶の絵柄を調べてみると40年くらい前のものだということがわかりました。海より土の方が分解が早いのに、それでも昔の空き缶がこうして残っているのを目の当たりにし、環境保全の必要性を強く意識しました。(ゆうと)
旭岳に生息する多種多様な植物を見ることができました。自然環境を保つ努力を行っているからこそ、さまざまな植物がありのままの姿で生息していて、少しでもその状態を継続して保っていけるように最大限努力をした2日間でした。実際に登山道を散策してみるとごみが大量に落ちていたり、よりルールが厳しいエリアに入っても、ポイ捨てや石を動かし高く積み上げるなどの生態系を破壊してしまう行動が多く見られ、少し悲しい気持ちにもなりました。石をわずかに動かすだけで、水の流れが変わり、地形が徐々に変化していき、結果的に生態系に大きく影響を及ぼすというのは、活動を通して最も驚いたことでした。活動に参加する前の僕と同じように、簡単に生態系を破壊できてしまう事実や、大雪山の広大な自然の素晴らしさを、より多くの人に知ってほしいです。(さわだ)
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