参加のきっかけ

大雪山自然学校での活動に参加したいと思ったのは、自然に関わる現場のサポートやマネジメントについて学びたい、自然と人が関わる色んな現場が見たいと思ったこと、北海道の山にどっぷり浸かる活動をしたかったからです。大学時代、青森県弘前市に住んでいた時に、世界自然遺産である白神山地に色んな形で関わっていました。それがきっかけで、自然とその自然を利用している人との関係性についてもっと知りたい・自分も関わってみたいと考えるようになりました。大学院の研究では、「白神山地ってそもそもどんな場所なの?」という関係者の認識について調べるため、ガイドや自治体担当者、地元に住んでいる人など様々な人にインタビューをしています。

活動について

自然学校での具体的な活動内容を紹介していきます。

①旭岳自然保護監視員
監視員の活動では、旭岳の利用者に対して、ロープウェイ姿見駅周辺の散策路内の注意点や見どころについてのレクチャー、登山者への声掛け、散策路や登山道の補修・巡回などを行っています。監視員の方々は皆自然に関わるのが好きな人ばかりで、その日の植物や動物についての発見を巡回後に共有したり、どうしたら園地内の環境が良くなるか議論・実践していくことがとても面白いです。自分が考えたレクチャーの言い回しだったり、補足した見どころ情報がお客さんにウケた時にはやりがいを感じます。
活動中に嬉しかったことを1つ紹介します。ある霧が濃い日の朝のカウンター業務で、旭岳山頂へ登山に行く人に「霧の日だからこそ人が少なく、思う存分自然を独り占めできますよ」と話しかけた日がありました。帰ってきて同じ人に感想を聞いてみると、「最初は天気が優れなくてちょっと気分が落ちていたけど、お姉さんに言われて見方が変わったからすごく楽しく登山できた」と言ってくれ、自分の言葉でその人の体験の質を大きく変えられたことがとても嬉しかったです。

②子どもを対象にした体験への参加(イエティくらぶ、森のようちえんキトキトなど)
小学生〜中学生を対象に実施しているトレッキングやデイキャンプなどの自然体験プログラムへ同行することもあります。トレッキングではサポート役として、子どもたちの後ろをついて歩いたり、危険がないか気を配りながら活動しています。トレッキング以外の体験活動にも多く参加しています。
子どもの「やりたい!」を妨げずに、どんな言葉なら自然との付き合い方が伝わるかを考えることが今回の活動期間の中で難しかったことの1つです。難しい分、自分の言葉で子どもが理解してくれた時の達成感がすごく大きいです。自然に対する先入観が少ない子どもたちと活動することで、自分自身気づいてなかった考えに気づくことが多いように感じています。

③事務所での資料作成など
現場のサポートについて、事務局の人と一緒に事務所で資料作成したり、新しいプロジェクトについての打ち合わせに参加したりと、現場とは一味違う関わり方をしています。

全体を通しての感想

活動前まで国立公園での仕事や子どもとの体験活動について、ぼんやりとしかイメージ出来ていなかったものが、実際に現場を体験することで、現場で困っていること、自分自身の得手不得手について具体的に認識することができるようになりました。今回の活動を通して分かったのは、自分は人と話すこと、特にインタープリテーションが好きだということ、相手の新しい学びや発見に繋がる瞬間を生み出すことに対し非常にやりがいを感じるということです。6月からの約3ヶ月、そういった自分の新しい面を知れたと同時に、色々な現場に関わったことで、同じ物事に対しても多様な意見を聞くことができました。「現場ではこう思うけど~」「こっち側はこう思うけど~」など、それぞれの立場にそれぞれの想いがあること、色んな人が関わっている中でそれぞれの考えをどうすり合わせていくのかがどれだけ難しいのかが、知識としてだけでなく、実感する機会が非常に多かったです。
今回の活動は「大雪山」というフィールドが限られたものでしたが、今後の私の人生にとって多くの学び・気づきを得られた機会となりました。

 

※本記事は、休眠預金を活用した『北海道未来社会システム創造事業』を活用し作成しています。
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