実施内容
【1日目】
札幌駅に18時に集合し、約1時間ほどかけて浜益にあるきむら果樹園に向かいました。移動中の車内では、初対面の人もいたため緊張するところも見受けられましたが、お互い自己紹介をして親交を深めました。また、ezorock代表の草野さんから浜益についての詳しい話を聞きました。きむら果樹園に到着すると、地元の人が夜遅いのにも関わらず、BBQの準備をしてくれていました。鹿肉や熊肉は実際にきむら果樹園の木村さんが狩猟し、捌いた肉で、自給自足生活の魅力を感じられました。また、地元の鮭を使ったちゃんちゃん焼きもいただきました。
ご飯をいただきながら、浜益についての話やezorockの活動に関する話など、いろいろ話をしました。その後テントで、人生で一番綺麗だと思えるような満天の星を見上げました。たった30分で、流れ星を10回以上も見ることができました。まだ始まったばかりの1日目の夜にも関わらず充実した時間を過ごしました。
【2日目】
2日目の朝、天気に恵まれ澄んだ青空のもとで起床しました。朝ごはんにホタテの稚貝を使ったお味噌汁と浜益で取れたハラスを食べ、活動を開始しました。活動内容は、1年分の積み上がった薪を木箱に移し、軽トラックに積み込むお手伝いでしたが、なかなかの重労働でした。薪の隙間にはカメムシがたくさんいて、薪を取り出す度に飛び出してくるので賑やかな作業になりました。その後、空き時間にきむら果樹園さんの散策をしてさまざまな果樹や植物を見学しました。昼食には米粉を使ったピザをみんなで作り、石窯で焼きました。
きむら果樹園さんで育てているラズベリーを摘んでスイーツピザに乗せたり、浜益牛カレーを使ったカレーピザを食べたりと、今までの人生ではなかなか味わった事の無い経験をしました。
ピザでおなかが満たされた後は、浜益探訪に出発。車2台に分かれてトランシーバーで車内をつなぎ、車窓から見える集落の歴史や浜益の自然の解説を聞きながら、浜益の各集落を回りました。地域振興課の方の解説を聞き、集落の昔の姿や自然が刻んできた時間に思いを馳せました。浜益の北部にある「白銀の滝」で国道231号線開発の歴史を学んだあとは、床丹という集落を散策。多くの家や集会所が今でも使えそうな姿で建っているのに、暮らしている人はたった2人。昔は、集落に暮らす子どもたちが通う小学校があったほど、多くの人が住んでいたのだそう。そんな床丹を散策していると、ちょうど床丹で暮らしている地域の方が家から出てきてくれて、お話することができました。床丹の昔の姿がどんなものだったか、床丹に暮らす理由についてなど、貴重なお話をうかがうことができました。
夕方には、浜益唯一の入浴施設「浜益温泉」へ1日の疲れを癒しに行きました。この日浜益を案内してくれていた地域振興課の方とばったり出くわし、湯船でゆっくりいろんなお話を聞くことができました。この日宿泊したのは、ezorockが拠点としている「浜益ベース」。ベースに戻ると、残ったメンバーが夜ご飯の準備を進めてくれていました。メニューは野菜やソーセージをホットプレートに詰めて焼くだけの「ぎゅうぎゅう焼き」、グリルで焼いた焼き鳥、そして浜益牛カレーと浜益産タコカレー。みんなで手分けしてご飯支度です。グリルの煙で火災報知器が鳴ったり、この時期に大量発生していたカメムシと悲鳴が飛び交ったりと、いろいろ起こるのが浜益ベースの魅力です。ちょうど同じ期間に浜益で漁師の就業体験をしていた方がいつの間にか参加していて、人が集う場所なのだと実感しました。お腹を満たして洗い物をしたあとは、各々自由時間。ベースのあちこちに潜むカメムシ退治にいそしんだり、夜の散歩で天の川を眺めながら歩いたりと、この夜もたくさん浜益を感じることができました。
【3日目】
3日目の朝はまず、御料地という地域の牧場に向かいました。浜益のおいしい牛がどのような仕組みで流通しているのか、また浜益における酪農の歴史などを教えていただきました。浜益にこんなに広大な牧場があるとは知らなかったので、大変興味深かったです。また、突然訪れたにもかかわらず、牧場の管理者の方が快くお話を聞かせてくださり、地域の方の心の広さが窺えました。次に、浜益の名所である黄金山のイチイの木を見に行きました。イチイ、あるいはオンコとも呼ばれる木ですが、北海道ではよく見られる種類で、一般的には成長が比較的遅い木です。しかし、黄金山のイチイは想像以上の迫力で、大人が腕を広げた3倍ほどの円周です。樹齢1500年と言われているそうですが、確かにイチイがここまで大きくなるには相当の時間がかかったと思われます。まるで黄金山の主かのような佇まいに、敬意を払わずにはいられません。
続いて、かつて釣り堀に使われていた貯水池の見学をしました。現在はその場所を小水力発電所として活用しようとする動きがあり、地域の方々が水路の整備を行っています。そのおかげで、貯水池にはどんどん水が増えており、努力の成果がはっきりと現れていました。計画の途中ではありますが、今後この元釣り堀がまた地域の方や外から来た人の交流のきっかけになるのではないか、と期待が高まります。
最後に、区内の川でサケの遡上を見ました。多くのサケが一所懸命に川を上っており、こんな光景はなかなか見られないと一同感激していました。用水堰には魚道があり、サケが遡上できる作りにはなっていましたが、サケはなかなかそこにたどり着けません。案内してくださった方が「案内板を用意してもサケは読めないから」と仰っていて、人間が様々な開発をするに当たって、理論上自然に優しいとなっていても、現実はうまくいかないものだと印象的でした。
この浜益おためし協力隊の最後のプログラムは、ワークショップでした。テーマは、「きむら果樹園の地図作り」。この3日間で見たきむら果樹園の魅力や、果樹園での新たな発見をみんなで出し合い、1つの地図にまとめます。まず、地図を描く係と発見をまとめる係に分かれて、作業を始めます。地図の土台が出来上がった所で、みんなで共有。見つけたことや発見を付箋に描き、どんどん地図に貼っていきます。「確かにそこ面白かったよね。」「それには気づかなかった!」と、ひとりひとりの発見に参加者みんなが共感したり、感心したり……3日間の出来事を振り返りながら、まとめていきました。また、見つけた発見だけでなく、「きむら果樹園でこんなことしたら面白いのでは」というアイデアも出てきて、参加者のなかで浜益ときむら果樹園への理解や考えがぐっと深まったように思います。
最後は、3日間の感想と印象に残ったことをひとりひとり発表し、ワークショップを終えました。たくさんのものを見て、感じて、最後に考える。そんな、浜益をじっくりと堪能できた3日間のおためし地域おこし協力隊プログラムでした。
(記事を書いた人:こーき、ゆーせー、いっしー、カイ、さーや、みさき)
▶️参加者の声
浜益での活動は、多くの学びと楽しさが詰まった貴重な体験でした。まず、地元の方々が提供してくださったご飯は本当に美味しく、浜益の新鮮な食材を使った料理の一つ一つが忘れられない思い出となりました。また、活動を通じて、地域の豊かさや自給自足生活の魅力について学ぶことができ、単なる観光とは違う「学びと楽しさ」が融合し充実した時間を過ごせました。今後も浜益の魅力をさらに多くの人に届けられるよう、全力で取り組んでいきたいと思います。(れん)
今回のおためし地域おこし協力隊の体験を通して、浜益という地域を初めてきちんと回ることができて良かったなと思いました。今までの活動では浜益の特定の場所にしか足を運んだことがなく、他の地区についてはあまり知らなかったのですが、今までいかなかった地区に足を運ぶことで、さらに浜益について知りたいという欲が高くなりました。また、新しい浜益に出会うたびに、この地域の魅力をどう伝えていけばいいのか、また自分自身もその魅力に押しつぶされてしまうような感覚を覚える体験でした。(かいと)