実施内容

現場に出向くことが出来なくても旭岳に関わる活動がオンラインで出来ないか、というアイデアから始まった活動の第二弾。今回は旭岳の姿見駅における気象データの収集・分析をしました。
旭岳は平地とは異なる山岳環境で、普段ニュースでみる天気予報とは気象条件が全く異なります。そのため、データの収集は毎日現場で活動する監視員さんが記録してくれたものが頼りでした。活動日誌の中の情報として2004年から、天気・気温・風速・積雪に関する気象データはあったのですが、今までほとんど使われてきませんでした。そこで、「蓄積したデータをどうすれば活用できるのか」ということを考えて今回リモートでデータ分析をしました。

例えば、最高気温と最低気温、平均気温を示したグラフ。

月ごとの気温変化をみると、登山の時の服装選びの参考になりそうです。また、10月には最低気温が氷点下を下回ったこともあり、一目で冬山の装備をしなければいけないことが分かります。

こちらは過去5年の平均気温(青線)と今年の気温(赤線)を比較したグラフ。7月中旬から8月の初旬にかけて、赤線が青線を常に上回っています。今年は特にこの時期の気温が高かったことが良く分かります(札幌でも、オリンピックの時期異常に暑かったことを思い出します…)。このグラフの作成にあたって、データの比較は統計ソフトRを用いて作業したため、統計学的なデータ処理の手法も学ぶことが出来ました。

このように、気象データをグラフにすることで体感でしかわからなかったことが視覚化でき、情報として使いやすくなることが分かりました。

今後の気象データの活用方法としては、旭岳の開花状況や秋の紅葉、登山道情報と組み合わせることが考えられます。例えば、リモートボランティア第一弾の旬の花パネルで特集されていたチングルマやエゾノツガザクラの開花と気象の関係性を見つけたら、観光にきたお客さんに見ごろの花を伝えるのにも活用できます。また、初冠雪も今年は過去5番目に遅い観測だったということで、データの比較から原因や今後の予測等、分かることがあるかもしれません。

ボランティア参加者の声

私は気象に興味がありこのリモートボランティアでの活動を決めました。しかし、実際にやってみると膨大なデータ入力や統計学的な処理などの課題が多く見つかりました。一番大変だったのは、2021年のデータと過去のデータを比較する際に使用した統計ソフトRでの作業です。基本的な気象データの処理から監視員さんに相談に乗ってもらうことで無事に気象データをグラフとしてアウトプットすることができ、達成感がありました。今後は、気象データを旭岳の姿見駅における気候変化の指標としてだけでなく観光情報としても活用するアイデアを考えていきたいと思います。

(記事を書いた人:なお)

 

※本記事は、休眠預金を活用した『北海道未来社会システム創造事業』を活用し作成しています。
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