第5回(8月20日(土)~21日(日))

【1日目】
監視員の方と合流し、ロープウェイで姿見駅※1まで移動しました。まずは散策案内の仕方について監視員さんから教えていただき、昼食では監視員さんからの差し入れのブルーベリーもいただきました。午後は姿見の池散策路を巡回しながらSEA TO SUMMIT※2の誘導の立ち位置を決めました。巡回中には、散策路整備で岩等を移動する場合には国の許可が必要であることや、岩等の移動や配置は階段づくりや排水のために行うこと、木道を配置しているのは降雨時に散策路が水浸しになった場合に利用者が高山植物を踏まないようにするためであることなど、散策路の工夫について教えていただきました。また今の時期はミヤマアキノキリンソウ、チングルマ、エゾオヤマリンドウ等が見られ、エゾオヤマリンドウには白色個体も見られるなど植物のことも監視員さんから教わりました。
※1 姿見駅
旭岳ロープウェイの終着駅(標高1600m)
※2  SEA TO SUMMIT
人力のみで海(カヤック)から里(自転車)、そして山頂(登山)へと進む中で、自然の循環に思いを巡らせ、かけがえのない自然について考えようという環境スポーツイベント


(岩の配置によって排水がされている様子)

 

【2日目】
朝から昼過ぎまでSEA TO SUMMITの誘導を行い、多くの方々とお話しすることができました。「何のイベントしてるの?」「この花の名前何?」と声をかけてもらい、復路の登山者には「朝からずっと立ってるの!?お疲れ様です…」と驚かれたりもしました。
昼食後は、駅舎の周りで本来はこの場所には生息しない国内外来種であるアキタブキの防除を行いました。アキタブキは地中にあるコア(地下茎)という構造から広がっていくため、このコアを取り除かないと再び復活してしまうそうです。


(外来種駆除の様子)

【参加者の声】
ボランティアに参加するまでは仕事について悩んでおり、漠然と将来どうしようかな…自分はどうなっていきたいんだろうな…と考えていました。今回ボランティアに参加したことで、私はたくさんの人と関わる仕事、植物や鳥類について人に教える仕事がしたいんだなと明確に見えてきました。なりたい自分のイメージが掴めたので、今回のボランティア活動に参加して本当に良かったと思っています。
ボランティア活動というと若干腰が重いかもしれませんが、参加することで将来のヒントが何かしら見つかるかもしれません。コアスタッフの方々も丁寧にサポートしてくださるので、少しでも気になっている方は参加してみてはいかがでしょうか。(社会人)

第6回(9月17日(土)~19日(月))

【1日目】
旭岳に到着後、植物の見分け方を教えていただきながら第2天女ヶ原※1へ向かい、植生回復の活動を行いました。同じ紅葉でも毛並みや色づきで2種類に分けられることや、実際触れたり五感を使って植物と向き合っていくことの大切さを学びました。第2天女ヶ原到着後は、植生回復のために筵(植物を編んでつくった敷物)を敷き詰めて裸地を埋めていく組と、新しく調査する箇所の区分けをする組に分かれて活動しました。植生回復には湿地を好む植物でありながらも乾燥に強い特徴をもつミタケスゲを活用しました。去年や2年前行われていたものには成果が出ているのもあって、植物のたくましさを感じました。
※3 第2天女ヶ原
旭岳の登山道中(2合目)にある湿原。


(裸地を埋めている様子)

【2日目】
午前は1日目と同様に第2天女ヶ原で植生回復の活動を行いました。途中雨が降りはじめてきましたが、あまり本降りにならなくてよかったです。
午後からはロープウェイに乗って姿見駅へ向かい、巡回とゴミ拾いを行いました。ガス※4が多くて景色を堪能することは難しかったですが、思っていたよりゴミが少なく、監視員の方々の取り組みや利用者の協力があって綺麗な国立公園があることを再確認しました。終盤にはガスが抜けて、チングルマの群生地を見ることができました。
※4 ガス 
登山用語で「霧」のこと

【3日目】
木道整備のために第2天女ヶ原へ向かい、資材を運びました。木材を運んだのですが、それなりの重さと大きさだったため、苦戦している人もいました。到着後は古くなった木材を回収し、土のう袋に入れて持ち帰りました。行きより体感的には倍も重く、今回の活動で1番大変な作業でした。これを3往復する日もあるんだとか…。


(資材運びの様子)

午後からロープウェイで姿見駅へ向かい、2日目とは逆まわりで散策しました。道中でウサギが通り過ぎていったり、2日目よりも景色を堪能することができて楽しかったですが、後半雷を伴う土砂降りに見舞われ、少しひやっとしました。本当は外来種の除去作業も行う予定でしたが、天候により出来ず残念でした。
 ロープウェイ再運行の待ち時間に振り返り&感想共有をしました。私は高校生の頃から部活で登山をしていましたが、安全に登山できるのは監視員の方などの日頃の取り組みがあってこそなんだと実感しました。

【参加者の声】
何か自然環境に関するボランティアをやりたいと思い、活動に参加しました。初対面の方々と一緒に活動を行うことに対して不安もありましたが、とても楽しくあっという間の3日間でした。夕食をみんなで囲み、協力して活動を行い、大切な思い出がたくさんできました。国立公園には客側の立場で訪れることが多かったので、今回は監視員の方々の活動に同行させて頂きとても貴重な経験が出来ました。美しい自然が守られている背景には多くの方々の協力があるということを改めて実感しました。また、以前から関心のあった植物や動物、北海道の自然についてもお話を聞くことができ、新しい発見がありました。今回参加したことで自分自身も成長できたと思います。また機会があったら参加したいです。(大学生)

初めてボランティアの活動に参加しました。初めてお会いする方々と三日間一緒に活動するのに最初は緊張しましたが、とても楽しくて充実したものになりました。活動を通して、安全に登山できるその裏側では、山の植生回復や登山道の修復作業がされていることを実感しました。特に、登山道の修復作業は、湿地を保全するためのものでもあって、とてもやりがいを感じました。修復作業では、木材を背負って運びましたが、重くとても大変な作業でした。しかし、この活動をすることによって植物は生育環境が良くなり、安全に楽しく登山することができるのだと思いました。三日間、とても貴重な経験になりました。次は、お花の咲く時期にボランティア、もしくは登山をしに行きたいです。(大学生)

お知らせ

今年度、旭岳での活動は終了いたしました。活動に興味がある方は12月9日(金)に行われる「旭岳同窓会(オンライン)」に、ぜひご参加ください!
活動に参加された方だけでなく、初めて参加の方も大歓迎です!旭岳同窓会の詳細・お申込みはこちら

今までの旭岳での活動報告(2022年度)はこちら!
・2022旭岳、はじまりました!~第1回活動報告~
・大雪山国立公園旭岳自然保護プロジェクト2022~前編~

 

※本記事は、休眠預金を活用した『北海道未来社会システム創造事業』を活用し作成しています。
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