実施内容
おためし地域おこし協力隊の1日目。空も私たちに味方し、とても良い天気。青い空と青い海を見ながら、これから始まるプログラムに期待を膨らませて浜益に向かいました。
まず訪れたのは、濃昼にある旧木村家鰊番屋。かつては鰊漁で栄えていた浜益。その栄えていた時代を感じさせるような、立派な建物です。半分ずつ和風と洋風の建築様式になっているのが特徴的でした。鰊番屋を後にし、濃昼や送毛の街並みや建造物を見て回りました。
午前の浜益探訪を終えて、今回の宿泊施設である旧適沢コミセン(通称ガル)でお昼を食べ、午後に突入。オリエンテーションでは、浜益ってどんなところ?から、浜益が今抱えている課題や、地域おこし協力隊の活動を教えてもらいました。そのあとは、浜益にある2つの巨木を見に山の中へ。ひとつ目は千本ナラ。沢山の太い枝が伸びており、まさに名前の由来となった千手観音のよう。今でも千本ナラに願い事をしに来る人がいるんだとか。本当に願い事をかなえてくれそうなオーラを感じました。ふたつ目は、樹齢1500年のイチイの木。このイチイ木は、浜益のシンボルでもある黄金山に生えています。山道をしばらく歩くと急に姿を表すイチイの木に思わずあっと息を飲みました。下からぐっと見上げると、まるで山の守り神のような迫力。浜益の2つの巨木に、パワーを貰った気がしました。
そうこうしているうちにあっという間に日が沈み始めたので急いでガルに戻り、浜益の夕日をゆっくりじっくり鑑賞。各自、椅子を持って自分のお気に入りの場所を見つけます。波の音をBGMに綺麗な夕日に見とれるだけの時間があんなに贅沢なものだとは思いもしませんでした。たっぷり夕日を見た後は、美味しいジンギスカンを食べて、早めに就寝。浜益の街並みと自然をたくさん堪能した1日でした。
2日目の朝は支度を終えて漁師の方の水揚げを見学するために先ずは漁港へ。船がつくと大量のサケが水揚げされて、1匹ずつ雌雄を判別し仕分けが行われていました。サケの他にもボラやフクラギ(ブリの幼魚)さらにとても大きなカレイなども混ざっており海の豊かさが垣間見えたような気がしました。いつの間にか漁港の周りには魚を狙うカモメ、カラスが集まっていました。ずっと昔からこんな光景が続いてきて来たのでしょうか?そう考えると今この瞬間の人とサケ、カモメが一緒にいる時間が不思議なものに思えてきます。執拗に魚を狙うカモメたちですが海に浮かんだフグには近づいても絶対に口にしないところに感動しました。見学を終えると加工場に向かいました。ここではサケの内臓を処理し、オスは白子メスは筋子を取り切り身におろす作業を行っていました。漁師の方含めた作業場の方々は慣れた手つきで素早く作業しており一見簡単そうにまで見えるほどでしたが、彼らの技術の高さをこの後身をもって実感することになります。
その後床丹地区に。ここは現在住宅が1軒しかなく、空き家となった住宅などが当時のまま残されているという場所。資料館で「当時の住宅」として展示されているものとは違い、実際にかつて人が使い生活していた家は各々の心に迫るものがありました。この部屋で一家団欒の時間があったのだろうか、ここに所縁のあった人達はどこでどのように暮らしているのだろうか…。まさに人の古巣ともいえるこの場所は人の想像をどこまでも掻き立ててくれるような空間でした。
この後は浜益中学校で学校祭の合唱を聞き、昼食を取りました。
午後は浜益の海岸へ。現在北海道で唯一「釣果調査」としてサケ釣りができる浜益川。調査についてのお話もたくさん伺うことができました。個人的には昨年ここで「釣果調査」の管理人として関わらせていただいたことがあり、そのときのことを思い出すと共に昨年お世話になった管理人の方と再会できてとても充実した時間でした。その後海岸を歩きながら、海岸環境の植生などについて伺いながらゆっくりと過ごしました。
そこからは夕食に向けた調理に入ります。ちゃんちゃん焼きとサケのお鍋をつくるためにサケを捌くのですが、朝は簡単そうに見えた作業も実際やってみるとかなり大変でかなり苦労している人もいました。みんなでご飯をつくる時間はこのプログラムを通してもそれぞれの距離が縮まるような良い時間だったのではないかと思います。
夕食は会場となった浜益ベースがいっぱいになるくらい地域の方も沢山来て頂きとても賑やかな夕食になりました。朝見学したサケが料理として目の前にあること、人の減った床丹にもサケが遡上し命をつないでいること、そんなところから「人と自然」というよりも自然の生態系の中に人が存在あるいはお邪魔しているしている。そんなことをダイレクトに感じられる環境。それも浜益の魅力のひとつなのかもしれないと感じた2日目でした。
3日目は宿泊スペースの後片付けが早く終わり、朝ごはんまで時間があったので参加者で朝の海を眺めるというところからスタートしました。朝日が海の水面にキラキラと反射しとても贅沢な時間となりました。
朝食後は陣屋研究会の川村さんより庄内藩ハママシケ陣屋跡ガイドを受けました。ガイドが始まる前に地区の避難訓練があり、ガイドスタート地点の神社に地域の方が続々と集まってくる様子を見ることができました。笹薮になってしまったかつての道を陣屋研究会の手によって笹狩りをし、再び道として歩けるようになった。そこを住民が通るという感慨深い光景を見ることができました。ガイドの途中で雨脚が強まり陣屋跡すべてを回ることはできませんでしたが、浜益の過去に想いを巡らせる貴重な時間となりました。庄内藩ハママシケ陣屋跡ガイドのあとは、郷土資料館を見学しました。郷土資料館の中は、ニシン漁で使われていた道具の展示があったり、当時の暮らしがわかるような設備が再現があり、道具の説明を受けたり、親方の座敷や漁夫用食卓でなりきりをしかつての生活を追体験しました。
天気が回復し、午後はきむら果樹園さんにお邪魔して、園内を回りながらお話を伺いました。園内には、さくらんぼ、ナシ、モモ、リンゴ、ブドウといったたくさんの果樹が育てられており、その中には、樹齢150年近い果樹やきむら果樹園で最近挑戦している果樹がありました。ところどころ鳥や鹿の被害にあっている果樹があり自然の厳しさを目の当たりにする場面もありつつ、果樹園の歴史や取り組みを知る貴重な機会でした。
3日目の最後は、おためし協力隊プログラムの締めくくりとして、地域おこし協力隊に入隊したら浜益でどんなことをしたいかを考えるワークをしました。3グループに分かれて各々が案を紙に書き出し、それに対するコメントを付箋で貼りアイディアを見える化し、さらにアイディアをブラッシュアップして、最終的に参加者全員に向けて発表しました。3日間同じプログラムに参加していても感じたこと・考えたことが違い、興味深い時間となりました。最後に綺麗な夕焼けを見ながら浜益にお別れをして3日目が終了となり、参加者からはまた浜益に来たいなという声がありました。
(記事を書いた人:みさき、ひろと、いっしー)
参加者の声
浜益の魅力から、これからの課題まで広く学べる3日間でした。初参加の私は、特に2日目の浜益ベースで行った交流会では地域の人との距離がグッと近づいたと感じています。また、1日の終わりに旧適沢コミセンの外でゆっくりと日が沈むのを眺める時間は俗世から切り離されたかのようなとてもリラックスした気持ちになれました。最終日には、浜益のこれからについて皆で様々なアイデアを出し合い議論したのはいい経験になりました。地域の人達との関係を深めていきたいのでまた浜益と関わってみたいなと思います。(たつや)
今回は浜益の自然や歴史、地域に触れることができました。色々な場所を見て回ったり、地域の方々とお話する時間はとても楽しく充実した3日間を過ごせました。樹齢1500年とされているイチイの木や鮭漁の見学といった普段あまり目にしないものも印象的でした。2日目に行った中学校の学園祭では親御さんだけではなく、多くの地域の方々が中学生の合唱や発表を見に来ていて、地域で子どもたちを見守っているような温かさを感じました。地域課題も多いですが、自分の住んでいる地域や他の地域とはまた違った魅力が感じられ、浜益にまた訪れたいなと思いました。次行く時にはどのような発見があるか楽しみです。(もとちゃん)