勇気を出して一歩踏み出すことが大切

Q:なぜ地域おこし協力隊になったのですか?
田渕さん:元々東京で十数年サラリーマンとして働いてきましたが、もっとダイレクトに人や社会の役に立つ仕事がしたくて転職を考えていました。そこで偶然協力隊という制度を見つけたので応募しました。

Q:なぜ駆除された鹿の解体・加工を担う仕事を選んだのですか?
田渕さん:最初は協力隊として、役場で林業のお手伝いや鳥獣被害対策に関する手続きや申請を担当していました。その仕事を通じて、伊藤産業という企業と出会いました。他の仕事のお誘いもありましたが、町の利益を考え、伊藤産業を継ぐ道を選びました。シカの駆除だけでは費用がかかる一方、ジビエとして活用することで町に貢献できると思ったからです。そのため、これまでのサラリーマンとしての働き方から急激に自営業に転向することになりました。この転換はなかなか難しいものでした。

鹿を通じて多様な体験の提供へ

Q:仕事のやりがいについて教えてください
田渕さん:農業被害の減少や生態系の保全など、直接社会貢献できることがやりがいの一つです。また、自分一人ではなくハンターさんと協力し、少しでもいい品質のお肉を提供することができると嬉しいです。サラリーマンとは異なり、個人事業主として自分の判断で経営を行うことができるのも面白いです。

Q:今後やってみたいことはありますか?
田渕さん:シカなどの野生動物を相手にするこの仕事は、単に狩猟して、ジビエを販売するだけでは事業を大きくするのは難しいと思っています。そこで、単なる狩猟ではなく、付加価値を提供することに焦点を当てています。私の仕事に興味を持ち、見たい、体験したいという人たちのために、新しいアプローチを模索しています。また、ジビエ以外にも木工など自然を活用したり、シカの皮や骨など現在は捨てられてしまう資源や部分にも着目し、それらを有効活用する方法を探しています。

Q:これから協力隊になりたい方へのメッセージをください。
田渕さん:協力隊制度は、国が提供する制度の中でも優れたものだと私は思っています。特に若い人たちにとって、仕事に意義を感じることはとても大事です。お給料だけ高くても、自分の仕事が社会の役に立っているのか疑問を感じながら仕事をするのはテンションが下がると思います。その点、協力隊制度は、確実にその地域での貢献を実感できると思うので、ぜひ飛び込んで、体験してみてください。
ただ一つ気を付けてほしいのは、協力隊に参加する前に、その地域やプロジェクトについてある程度調査や準備を行っておくことをおすすめします。思い切りと冒険心は大切ですが、準備を整えることも大切です。

田渕さんが代表を務める伊藤産業についてはこちらから。

インタビュアーの声

湧別町はご飯もおいしく、自然も豊かな町でした。限られた時間の中でその魅力をたっぷりと体験できました。田淵さんとのインタビューでは、自らの仕事に真剣に取り組むだけでなく、湧別町がよりよくなる事を考えている姿勢が伝わってきました。機会があればぜひまた訪れたいです。(ワイちん)

今回湧別町を訪れ、普段表に出てこない鳥獣対策で駆除された動物の「その先」に関わる人達や、地域振興のために奮闘する人たちの様子を垣間見ることが出来、とても印象に残る2日間でした。町立郷土博物館などじっくり見たい施設が数多くあるため、また湧別町を訪れたいです。(きゅーちゃん)