実施内容

【1日目】
1日目は月に一度は森づくりに参加しました。最初は薮の中に入って木の枝を切る作業を行いました。

みんなで薮に入り、切り落とされた枝を広い道に運び出し、森の整備を行いました。その後は子どもたちと薪割りや馬のお世話、鬼ごっこなどそれぞれ思い思いの遊びを森の中で楽しみました。そんな大人が作業をしている傍らで、子どもたちが自由に遊んでいる森の中で、「危ないよ!」という声が飛び、ピリッとする瞬間がありました。チェーンソーで木を切る作業をしている際、人がいる方向に倒れかけるという出来事がありました。これまで何度か活動に参加してきましたが、そういった瞬間に出会ったのは初めてで、改めて森には危険が身近にあるということ、そして、安全を第一に考えることが、何よりも大切なことであるということを痛感しました。森の中で子どもたちが自由に遊ぶためには、大人の細やかなリスク管理があってこそだということを感じ、より意識して活動に参加していきたいと思いました。
今回初めて参加したご家族が削り馬という道具で枝を夢中になって削っていたことが印象的でした。

刃物を使うため、はじめお母さんはかなり心配そうな面持ちで、「〇〇には難しいから」と妹さんにはストップをかけていましたが、少しずつ少しずつ使い方に慣れていくことで、姉妹揃って大きな枝の先端を削り尖らせ、そこを炭で黒く塗り、鉛筆を完成させていました。それを家に持って帰るんだ、とにこにこしながら言っていた姿がとても素敵でした。森の中は危険がたくさんありますが、それを大人が見守りながら、できることに最大限挑戦させてあげられると、子どもたちにとって大きな経験や達成感に繋がるのだと感じました。これからも「やりたい」をそっと応援しながら、子どもたちの「できる!」を増やしてあげたいなと思いました。

 

【2日目】
2日目はイコロの森で植樹と馬搬を行いました。朝、イコロの森に到着すると、宿泊していたメンバーが動物たちに朝ご飯をあげ終わったところでした。動物たちのお腹が満たされたところで植樹開始。
植樹をする場所には、腰ぐらいの高さの草が辺り一面に多く生えているので、土を掘って植樹しやすくするために草を刈り取らなくてはなりません。そこで活躍したのが馬のななちゃんと羊たちです。ななちゃんに草を食べてもらったり、歩き回ってもらうことで草を踏みつけてもらいます。羊たちには、地面近くの背丈の低い草を食べてもらいます。馬に地面を踏んでもらい草むらを切り開き、羊には細かな草を食べてもらい、私たち人間は鎌を使って馬では入りづらい場所や細かな場所の草刈りをする。お互いの強みを生かして作業をしました。

地面が開けたところで、シャベルを使って木の苗を植えるための穴を掘りました。今回はトドマツという木を5本植えるため、木の根っこがしっかり入るくらいの穴を子どもたちと一緒に掘りました。途中でミミズを見つけ「鶏のごはんだ」と嬉しそうに報告してくれる子や、カナヘビを見つけて夢中で探しに行く子がいて、そののびのびとした姿に心が和みました。まだ大人の膝丈ほどしかないトドマツの木の赤ちゃん。そのすぐ側には、ここで育ってもう何十年も経つであろう数十メートルもの高さのある木々。トドマツの赤ちゃんの成長が楽しみだなぁと思うと同時に、このギャップのある光景に壮大な時の流れを感じて、なんだか不思議な気持ちになりました。

植樹をしたあとは、馬のななちゃんと馬搬を行いました。私は今回初めて馬を操作する手綱を握らせてもらいました。今まで馬搬をしている様子は何度か近くで見たことはありましたが、実際に馬を後ろから手綱で操作したり、馬の横を歩いて誘導したりということはやったことはありませんでした。
馬搬が始まると、お仕事の時間という事がななちゃんも分かるのか、歩くスピードがとても早く、ななちゃんの真横で一緒に歩いていた私はななちゃんのグングンと歩くスピードについていくのに必死でした。また、放牧されているときのほのぼのとした雰囲気から馬搬モードに切り替わっていくななちゃんの表情だったり、馬体から溢れてくるエネルギーに少し恐怖も感じ、一気に緊張感が増しました。

ななちゃんの勢いに圧倒されながらも必死になってななちゃんの横を歩いたとき、後ろから「もっとゆっくり歩いて-!!」という手綱を握っていたキングさんの声が飛んできました。その声にハッ!となり、私がななちゃんのスピードに合わせるのではなくて、私がななちゃんに声をかけながら落ち着いてゆっくり歩くのが大事だということに気づきました。どんなにななちゃんの気が高ぶっていても冷静にその場の状況を読んで、ななちゃんや周囲の人に適切な働きかけをする。良く出来たときは「GOOD!」とちゃんと褒めてあげる。
いつも外から見ているばかりだった馬搬を間近で体験し、改めて馬の息づかいや溢れるエネルギーに圧倒されました。それと同時に、馬搬というものに子どもや大人がどのように加わっていくのか、いろいろな人が加われる余白をどのようにつくり、どのように森づくりを行っているのか。今回の活動でいつもとは違う体験をしたことで、今後この活動のことをまた新たな視点からみることができそうだなと思いました。たった1日ですが、木を植えて、木を切って、運んで。森づくりの一端を見ることができた気がします。

(記事を書いた人 リオ、きくちゃん)

 

参加者の声

やることが決まっていなかった、これが2日間参加した私の率直な感想です。私は今回が「月に一度は森づくり」への初参加でしたが、1番最初からいきなり「今から薮に入って枝を切りましょう!」と言われ、理解ができなかったことを強く覚えています。しかし、プログラムが与えられてない中で自由に過ごすお子さんやそのご家族の姿を見て、やることが決まっていないことは、自分の身に危険がなければ何をやっても問題ないことの裏返しだと気づきました。森という環境で、何が危険かを判断することは私にはまだ難しいですが、今後の活動の中で学んでいけたらいいなと感じています。(かずま)

 

 

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月に一度は森づくり(2024年5月)