実施内容
【1日目】
初日、私たち5人は早朝に札幌駅のバス停に集合し、スタッフから注意事項の確認を受けたあと、バスに乗り込み旭岳へ向かいました。ところが、バスが5分ほど遅れてしまい、当初予定していた乗り継ぎバスに乗れず、旭川での乗り継ぎ時間が3時間も生まれてしまいました。そのため、保全員さんと相談しその時間を利用して旭川市内の博物館を見学することにしました。思いがけない遅れでしたが、旭川の歴史を学ぶ機会が得られたのは、結果として良かったと思います。
旭岳に到着し、期間中に滞在するシェアハウスで荷物を整理したあと、ボランティア活動を開始しました。保全員さんの指導のもと、前回のボランティアが設置したキツネ用のベイト(エキノコックス駆虫薬入りの餌)を回収し、それを保全員さんの運転する車で旭岳周辺の町に再度配置しました。この作業自体はシンプルで軽いものでしたが、周辺の田畑や自然環境を守るためにはとても重要な役割を果たしていると感じました。
遅れて到着したため、初日の活動は早めに終了しました。シェアハウスに戻り、荷物や寝床を整えたあと、役割分担して夕食を作りました。夕食後は、1日の経験を振り返りながら、お互いのことを徐々に知ることができました。旭岳の自然環境に触れ、充実した初日を終えました。
【2日目】
旭岳山麓からロープウェイに乗って標高1600m地点へ。初めて間近で拝んだ旭岳山頂は圧巻の迫力でした。午前中はロープウェイ駅付近の散策コースを巡回しながら、旭岳に生息する動植物や旭岳を取り巻く自然環境について保全員の方から教えていただきました。旭岳の豊かな自然に感銘を受けるとともに、自然保護の重要性をあらためて考えるきっかけにもなりました。
午後は登山道を下りながら、道にはみ出た笹や枝を払う作業を行いました。慣れない剪定ばさみの扱いにも苦労し、体力的にも大変な作業ではありましたが、作業中に登山客の方から感謝やねぎらいの言葉をかけられることもあり、やりがいを強く感じました。
【3日目】
午前中は展望台近くに設置されているベンチの整備を行いました。土壌流出によって不安定な状態になる事を防ぐ為に、土嚢を作ってイスの周囲に設置する作業です。
土嚢に入れる砂を現地調達したことで、「外部のものを旭岳に持ち込まない」というルールを徹底しているのだと再認識しました。午後はロープウェイで上がってくる観光客へのレクチャーをはじめ、貸出用長靴の整理、環境保護の為に集められた支援金の計算、入口付近の外来植物駆除など、散策路の外で行うさまざまな活動に取り組みました。
外来植物駆除の活動において、散策路に近い場所ほどセイヨウタンポポがたくさん生えているのを見ました。綿毛が付いている人間の靴や荷物が外来植物を旭岳に持ち込んでしまう主な要因になっているのだということを、目に見える形で理解することができました。活動後は旭岳や大雪山自然学校の皆様との別れを惜しみながら、ひがしかわ道草館よりバスに乗り、21時頃に札幌にて解散しました。
(記事を書いた人:陳、かおる、たいち)
参加者の声
とにかく景色がきれいだった!というのが一番の印象です。初日にバスに乗れないというトラブルがありましたが、3日間を通して天気に恵まれ、旭岳の良さを感じることができました。同時に、この自然を守っていきたい、多くの人に楽しんでもらいたいという保全員さんの想いにも触れ、そのことにに強く共感しました。観光地に行くと、遊歩道などと案内されていても、倒木が道をふさいでいたり、看板がなくて道が分からないという場面に何度か遭遇したことがあります。その点、旭岳の散策コースはよく整備されていると感じました。登山道の草刈りや、ベンチの土嚢の整備を通じて、その裏には保全員さんの苦労があるということを、身を持って知ることができました。(たける)
北海道に引っ越してきてから初めての3連休。何かわくわくすることをしたい、自然を全身で感じたいという血が騒ぎ、ネットで偶然見つけた今回のプロジェクトに3日前に参加を決めました。参加前は保全員の方がどんな活動をされているのかほとんど知らなかったのですが、意外だったのは、公園内だけでなく周辺の町での活動もあったこと。公園の環境に影響を与える課題に、広い視野を持って取り組まなければならないのだと気付かされました。
3日間の活動を通してロープウェイの案内の方、売店の方、工事現場の方、簡易トイレ設置のために重い資材を背負って登山する方、ボランティアの方など、たくさんの力があって成り立つ運営なのだと実感しました。活動中は、力強くそびえ立つ大雪山の迫力に大感動で、シャッターを切る手がとまりませんでした。そんな大きなパワーをくれる大雪山を守るために、今後も機会があれば活動に携わりたいです。
腕章をつけて作業をしていると、「ご苦労様です」「どんな活動してるの?」「ありがとう助かるよ」など、話しかけてくださる方がたくさんいて、「誰かのため」ではなく、「こういう言葉をかけてくださる登山者の方のため」のボランティア活動だったことで、わかりやすくやりがい・達成感につながり、心があたたかくなりました。新たな知識が増えて、同じような興味を持つ仲間と知り合えた、貴重な3日間になりました。(りこ)
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